【偏差値70超え!】物理の勉強法とオススメ参考書

高校に入学しはじめの頃などは、数学や英語の勉強は得意な人は多くても、物理の勉強が得意な人は少ないかもしれません。
実際どのように勉強したらよいのか分かりにくいと思います。
実は難関大学を受験する人の多くは、教科書の内容を大きく超えて、大学の内容の「物理学」の一部を学んでいます。
これにより物理的な感覚を養い、現象を法則にのっとって理解できるようになるので、問題の本質がわかるようになるのです。
このように勉強することで、僕は駿台の秋の東大模試で偏差値73.5を取ることができました。
同じようにできれば、模試での高得点だけではなく、物理学に対しての深い理解が得られること間違い無しです!
まずは高校物理の範囲の確認
高校で習う物理は、主に5つの範囲からなります。
- 力学
- 熱力学
- 波動
- 電磁気学
- 原子
これらのうち、頻出のものは力学と電磁気学になります。
大学でもこの2つは必修となっていることが多いです。それだけ物理学の基本となる分野だということなので、大学教授も入試問題を作りたくなるのでしょう。
高校物理に必要な数学
物理学は数学という道具を用いて、世界の法則を記述しようとする学問です。
ある程度のレベルの数学ができなければ物理を理解することはできません。
教科書の物理は、高校1〜2年レベルまでの数学を使って書かれています。
難しい数学でも、ベクトルや三角関数くらいでしょうか。物理学にとって重要な概念である、微分積分は高校2〜3年で習うので、ほとんど使用されていないのです。
「なぜ微積分を使わないんだ!」と高校生の頃は憤りすら感じたのですが、これは教育課程において致し方ないことなのです。
一番初めに物理を習う時期よりも、微積分を習うのはずっと後ということになっているからです。
そのせいで微積分を使わないと導出できない公式などは、教科書では天下り的に覚えるしかない状態となっています。
勉強の基本的な指針
教科書に頼りすぎてはダメ!
結論から言います。教科書に頼っていては、いつまでも物理が得意にはなりません。
物理法則の理解という、重要な勉強ができないからです。
物理学は、数少ない原理から、数学を用いて法則を導出することができます。
その法則がなぜ成立するのかや、どういう状況で使えるのかなどの理解は、導出をすることによって理解できます。
難しい問題になるほど、基本となる法則に対する深い理解がないと、解くのが困難になります。
問題演習だけでは、高得点は取れるようになりません。
微積分を使う
物理に微積分は必須!
物理の勉強に微積分は必須です。
物理学発展の歴史に、微分積分学は深く関わっています。
万有引力の法則など、力学で有名なニュートンが、同時に微積分学を発明してることからも明らかです。(現在体系付けられている物理学よりも、以前にまとめられた力学のことを「古典力学」といいますが、これを「ニュートン力学」などと言ったりもします。古典力学の誕生とも言える本「プリンキピア」はニュートンが著者です。)
微積分は必要ないって聞いたけど?
たまに微積分は必要ないと言っている予備校講師がいますが、それはある一定レベルの大学までです。
そのままだと学力の伸びはある程度のところで頭打ちになります。
難関大では多くの人が微積分を使って物理の受験勉強をしたことがあるのです。
微積分の勉強は大学に入ってからも楽
微積分を使った物理の勉強に慣れていなければ、大学に入った時点で周りと差がついているので苦労することになるでしょう。
逆に、高校生のうちに触りの部分だけでも理解しておくと、スムーズに学習を進める事ができます。
(ここで大学の教科書や授業について1つ言っておくと、受験生のために分かりやすく書かれた参考書・授業などとは雰囲気が全く違います。はじめて大学で物理の教科書を読んだときに戸惑うかもしれません。最近では図などが豊富で分かりやすい教科書もありますが、得てして大学教授が指定する教科書は難しくて古風なものが多いです。もちろん必ずしも指定された教科書を買わなくても良いのですが、高校生のうちに勉強しておかないといきなり挫折することになりかねません。)
高校数学+αの範囲で物理学を理解する
大学レベルの微積分などは、受験という観点から見たときにオーバーワークです。
そこまで受験に必要のない知識を勉強しなくても良いのです。受験生として求められるのは、高校数学の範囲+αで物理を理解しきることでしょう。
なぜなら、余分に数学を勉強する必要もないですし、受験数学の勉強にもつながるので、一石二鳥だからです。
微分方程式は必要
大学の範囲になりますが、よく物理で登場する、微分方程式と呼ばれるものを知らないわけにはいきません。
これは大学でならう範囲のものですが、簡単な計算なら高校の微分積分の範囲で理解できるので、多少のことは知っておきましょう。
数学で物理を理解するとは?
では数学を使って物理を理解するというのは、具体的には何をすればよいのでしょうか?
単純に問題を解くだけでは、答えを出すことに執着してしまいがちになり、その本質が理解できなくなってしまいます。
僕がオススメするのは、教科書で天下り的に示された公式を、別の参考書を見ながら導出してみることです。
幸いなことに、高校数学レベルで物理について様々な説明をしてくれている参考書はいくつかあります。
自分で手を動かしながら確認すると、その公式が何を表しているのかがくっきりとしたイメージを伴って理解ができるようになるでしょう!
おすすめはこちらの参考書です↓
文字式をなるべく使う
特に初学者が気をつけるべきポイントです。
問題演習では、文字式に慣れるために出来る限り具体的な数字は最後に代入してください。
例えば、簡単な問題集では、時間\(5.0s\)、速さ\(30m/s\) などと数字で書いてありますが、難しい問題では時間\(T\)、速さ\(V\) などと文字で書いてあることが多いです。
文字がない問題でも、文字を自分で置いて計算し、最後に数値を代入するようにしましょう。
この場合では、
\begin{align}
T \times V &= TV ←ここまでは文字式で計算 \\
&= 5.0s \times 30m/s ←ここで数字を代入 \\
&= 150m \\
&= 1.5 \times 10^2m
\end{align}
などとします。
どんなに難しい設定の問題でも、可能な限り理解!
物理の学力は計算ができるだけでは伸びません。理解ができていなければ、いつどの公式を使ったら良いか分からないからです。
なぜその公式が成立するのか数学的に理解することや、問題でなぜそのような解答になるのかを理解することなどを通して物理の感覚が身につきます。
微積分はそのための手段の1つであり、こだわり過ぎるのはよくありません。重要なのは理解すること、理解するために考えることです。
演習と理解を組み合わせる
問題演習だけでは限界がありますし、逆に法則の導出や理解だけでは問題を解けるようにはなりません。
この2つをバランスよく取り入れた勉強をする必要があります。
- 基礎問題の演習
- 数式を使って公式や法則の理解
- 標準問題と応用問題の演習
といった具合に、勉強していきましょう。
基礎問題の演習
微積分を習っていない高校1〜2年までのあいだは、教科書的に公式や法則を覚え、使いこなせるように基礎的な問題集で演習を積みましょう。
ここではできるだけ多くの問題を解いて、公式に慣れ、物理の感覚を養うのがポイントです。
はじめに大量の基本的な問題を解いて物理に慣れておくことが、後の学習スピードに大きく関わってきます。
どれか1分野(習う順番から言うと力学など)を得意にしておくと、物理の感覚がつかめるからです。
数式を使って公式や法則の理解
微積分を習い始めた段階で、問題演習に並行して法則の導出などをしていきましょう。
今まで習った分と、新たに習う分とで、やることは多いですが、習ったことがある範囲に関しては、基礎問題演習で慣れているはずです。集中してやれば短期間で終わります。
標準問題と応用問題の演習
微分積分を使い始めたころから、標準的・応用的な問題を解いていきましょう。
物理に対する感覚を磨くには、問題の解説を読んだ後、その問題の設定や疑問点などをよく考察すると良いです。
わからないことを考え続けることで、物理の力は伸びていきます。
法則がどう成り立っているのか、物質がどのような振る舞いをするのか、エネルギーはどうなっているのか、など様々なことを考えましょう。
公式や法則の一つ一つに深い理解があれば、問題の解説で分からないことがあっても、よく考えることで自力で理解できるようになります。
考え続けて、それでもわからない問題があったら、信頼できる人に質問しに行きましょう。
オススメ参考書
受験生向けの微積分を使った参考書は、高校数学+αの範囲で書かれていることが多いです。
基本的には受験生向けのものを使うようにしましょう。
大学生用の教科書は受験向きではないので、オーバーワークになりやすいです。余裕がある人だけがやりましょう。
問題演習
物理のエッセンス(河合塾シリーズ)
おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
分量 | ★★☆☆☆ |
目的 | 基礎問題演習 |
到達レベル | センター試験8割 |
教科書と共に勉強することを前提に、公式のまとめ・問題の解き方や、基礎的な問題がのっています。適度な分量なので、時間がない人がやるのには丁度良いでしょう。
特に問題の解き方について説明しているので、習いたての人がやる分には丁度良いです。ですが分量が少ないのが欠点なので、余裕があれば別の問題集を買うと良いでしょう。
電磁気などの解き方に少しクセがあるのが特徴ですが、他の問題集の解説などと読み比べて見ると面白いかもしれません。
詳しくは下の記事を見て下さい!
リードα、セミナー物理などの教科書傍用問題集
おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
分量 | ★★★★★ |
目的 | 基礎問題演習 |
到達レベル | センター試験9割 |
学校で配られることの多い教科書傍用問題集。
似たものが配られていればそれで十分です。まだ微分積分を習っていない場合は、この問題集を解きまくりましょう。
学校の先生の授業が良い人はこちらの問題集、良くない人は先程の「物理のエッセンス」を使うとよいでしょう。
ほとんどの問題に文字式が登場しません。面倒ですが、自分で文字を置いてから最後に具体値を代入するようにしてください。
分量が多いので、微積分を習い始めた段階で、別の参考書をやると良いでしょう。
僕はセミナー物理をやりましたが、力学・熱力学・波動の分野を3周しただけで、あとはやっていません。
良問の風(河合塾シリーズ)
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
分量 | ★★★☆☆ |
目的 | 問題演習 |
到達レベル | 二次試験標準レベル |
物理のエッセンスと同じ著者による問題集。頻出でオーソドックスな入試問題を選び、テーマ別に収録しています。
難易度的にも物理のエッセンスからスムーズに接続可能なので、物理のエッセンスが気に入った人はこちらの問題集をやると良いでしょう。
名門の森(河合塾シリーズ)
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
分量 | ★★★☆☆ |
目的 | 問題演習 |
到達レベル | 難関大標準レベル |
物理のエッセンスと同じ著者による問題集。
入試問題から良問を選りすぐり、さらに一部手を加えた「名問」を収録しています。
良問の風をこなしたら、こちらをやるとよいでしょう。
物理重要問題集
おすすめ度 | ★★★★☆ |
分量 | ★★★☆☆ |
目的 | 問題演習 |
到達レベル | 二次試験標準レベル |
物理のエッセンスの著者による参考書が気にいらなければ、こちらをやりましょう。分量も丁度良いと思うので、個人的にはこちらのほうがオススメです。
問題選定、解説ともにクセがなく、評価の高い問題集です。
解説量が若干物足りないと思うかもしれませんが、後述する法則の導出のための参考書なども見ながら進めると理解が深まります。
各項目は「要項」と「問題」の2つから構成され、さらに「問題」は「A」と「B」の2段階に分類。解答編は、解答+補足説明の2段階構成になっています。
上級レベルの問題は少ないので、別の参考書で補う必要があります。
難問題の系統とその解き方
おすすめ度 | ★★★★☆ |
分量 | ★★★★★ |
目的 | 問題演習 |
到達レベル | 二次試験標準レベル |
難関大学受験生御用達の参考書がこれです。
昔から使われている受験物理の古典的名著と言っても良いでしょう。
僕が受験生の時にこの問題集を解いていたら、物理の先生が「俺も高校生の頃に使ったよ〜。良い問題集だよねー。」と言っていました(先生は多分30〜40代?)。
各節の冒頭に、必要な公式を記した要項を収録。例題には、入試問題や模試の過去問などの創作問題から問題を選び、演習問題には、さまざまなタイプの問題を180題ほど選んでいます。
演習問題を含めるとかなりの分量となる問題集なので、演習問題の解説は詳しくないです。
使うなら詳しい解説のある例題を優先的に解き、演習問題は時間に余裕がある場合にのみ解けばよいでしょう。実際、僕も例題しか解きませんでした。
他の問題集では問題文が短く改題されていることが多いのですが、こちらは問題文の分量が多く、本番慣れができます。また考えさせる問題が多いのでオススメです。
しかし、問題自体は古いものが多く、標準的なものは少ないです。難しすぎるというよりはクセがあると言ったほうが良いかもしれません。
評価が別れる問題集でしょう。重要問題集などの標準的な問題を完璧にしてからやると良いです。
公式や法則の理解
新・物理入門 (駿台受験シリーズ)
おすすめ度 | ★★★★★ |
目的 | 公式や法則の理解 |
微積分を使って物理を勉強するなら、まずこの本を買うべきです。受験生向けに、これだけ分かりやすく、物理の理論が書かれた参考書は他にないでしょう。
時間がなければ読むだけでも良いですが、やはり手を動かして法則の導出をしてみると理解が深まります。
一部受験にはやりすぎなところはありますが、物理を深く理解するためには不可欠なものばかりです。問題演習の前に、該当分野を一通り読んでおくのがオススメです。
詳しくはこちら↓
理論物理への道標(河合塾シリーズ)
おすすめ度 | ★★★★☆ |
目的 | 公式や法則の理解・問題演習 |
数学を使った理論的な話に加えて、最上級レベルの問題ものせた総合的参考書。
基礎理論を解説した理論編と、難関大学の入試問題の過去問を主に取り上げた演習編で構成されています。
体系的にまとめられていて、問題も良問が多く、かなり良い参考書ですが、欠点は数学が高校レベルを遥かに超えていることです。適切な説明もなしに、大学レベルの微積分が使われていたりします。
わかる部分だけを読んだり、問題集として使ったりすると良いですが、すべてを理解するのはかなり余裕がある受験生でないと難しいでしょう。
おわりに
はじめて物理を勉強する人にとっては、慣れないことが多いので大変とっつきにくいと思います。
ある程度現実世界のことも考えながら、それでいて数式が色々と出てくるので、苦手になってしまう人が多いのもわかります。
しかし、数式から原理を理解し、世界の法則の一端を知ることができたら、それはなにものにも代えがたい経験となります。
ぜひ微積分をフルに使って勉強を進めて見てください!
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